お風呂場の介護リフォームでどんな施工ができるのか?その事例と補助金の上手な使い方をご紹介!
お風呂場のリフォームをする理由は色々とありますが、高齢者、要介護者がいる世帯においてやるメリットが多いのが介護リフォームです。
なぜなら介添えをする人がいても、要介護者の入浴はなかなかの負担になってしまうため。
ましてや入浴は毎日行うことで清潔な生活を維持できますので、日々の入浴介助を介護者が苦労をせずにこなすためにも、被介護者が気持ちよく入浴するためにも、お風呂場の介護リフォームはマストなのです。
介護リフォームは、介護者と、要介護者がストレスなく入浴をこなすためにも、欠かせない内装面の工事ということですね。
今回は、具体的な介護リフォームの内容と、介護リフォームをする上で行い工事に充当できる補助金制度についてご紹介していきましょう。
誰もがいずれは身体が不自由になるリスクを抱えていますので、元気なうちから、介護リフォームの重要性を認識しておくことは重要。ぜひ最後までご覧ください。
■お風呂を介護用にリフォームする理由
介護をする人も、される人も日々の苦労は少ないに越したことはありません。
まず、お風呂を介護リフォームする理由について簡単にご説明していきたいと思います。
と言っても、要点は簡潔。これはもうズバリ介護者、被介護者双方の日々の負担軽減のためです。
介護者の入浴介助負担軽減のため
入浴が1人では難しいという方の入浴介助をするというのは、とても苦労するものです。
ましてや老々介護世帯ともなると、まずお風呂場に被介護者を連れて行くまでが一苦労。
一事が万事の重労働になってしまいます。
また、介護をする側にとっては、設備が不十分なお風呂場での作業は身体にも負担が大きいものです。
床パネルが硬い、浴槽の高さがある、そもそもお風呂場の断熱性が低い。こういったことは季節を問わず、介護者の身体にもダメージをあたえてしまうことでしょう。
被介護者の負担軽減のため
そしてもちろん、被介護者の立場から考えても、お風呂場が介護に適した環境になっているに越したことはありません。
床の保温性が高く、浴槽も浅めながら広いものであったり、断熱性が高くて夏も冬も快適に入浴が可能。しかも手すりも設置され、段差もない。
こういう環境が、日々の入浴におけるリスクを下げることとなります。
介護をする人、受ける人。
双方に毎日の入浴介助でメリットが提供できるのが、介護リフォームの強みです。
将来的な介護の必要性を見越して、早めに工事を済ませておくのも、十分有効な手段と言えますね。
介護用お風呂リフォームの内容
前項では介護リフォームの有用性について、当事者目線での話をしていったところですが、今度は介護用のお風呂リフォーム工事の内容に触れていきましょう。
どういった工事を施すことが介護リフォームと見なされるのかという話を、より掘り下げてしていきたいと思います。
色んな例を挙げておきましたので、より包括的なお風呂場の介護リフォームを検討しているという方は、なるべくそのすべてに近い要件を満たす方向で施工業者に委託してみることをおすすめいたします。
手すりの設置
足腰の弱くなった被介護者の入浴を支える重要な要素が、手すりです。
浴槽付近、お風呂場内の壁などに手すりがあれば、入浴を行うまでの手間も削減されます。
手すりに掴まってゆっくりと浴槽内を出入りすることで、転倒リスクも減るため、これは重要です。
また、介護者が使っても便利なのが手すりでもあります。あるに越したことはないのが手すりということですね。
上記画像のように、浴槽に設置できて、椅子とも連結可能なタイプなど、色んな種類の手すりが存在しています。
暖かく柔らかい床材
昔ながらの在来工法のお風呂によく見受けられる、タイル張りの床。
これは夏場は良いのですが、冬場になると足元が冷えて健常者でも不快に感じるものです。
まして体力がない要介護者の場合は、もっと深刻。
さらにタイルは硬く、溝もあるので足先が引っかかって転倒するリスクも生じてしまいます。
介護者がつまづいてしまう可能性もあり、余計に危険でもあるんですよね。
このような事態を防ぐために、溝もなく柔らかく保温性もある床材に交換することは重要です。
これなら上記のような懸念を払しょくすることも可能でしょう。滑りにくい床材もあるので、余計に入れ替え工事をおすすめしたいところです。
入浴しやすい高さの浴槽に変更する
浴槽によって、その高さはまちまち。
健常者であればある程度高さがあろうと跨いで入浴することは簡単ですが、被介護者はそうもいきません。
また、そんな被介護者を抱えるようにして入浴させる介護者にとっても、浴槽が高いと苦痛が増える原因となってしまいます。
そこで、高さを抑えた、跨ぎやすい浴槽の入れ替え工事をすることも提案したいところ。
浴槽の交換だけなら期間も費用もさほどかかりませんので、ここを改めるだけでも随分介護が楽になることと思われます。
段差をなくす
お風呂場での介添え入浴で一番怖いのが転倒。便宜上、裸の状態で利用する設備ですので、仮に転倒するともろに体を打ち付けてしまい、骨折などの危険性が生じます。
転倒を防ぐには、前述のように手すりの設置や床材の交換工事とあわせて、段差自体を無くす介護リフォームも提案いたします。
段差がなければ転ぶ可能性は一気に下がりますし、介護をする側にとっても、導線がスムーズであればより目的を遂行しやすくなるので、これもまたおすすめの工事です。
リフォーム時に活用できる補助金
ご存じの方もかなり多い話題なのですが、介護を目的としたリフォームにあたっては、各種補助金制度を活用することで、かなり費用面の負担削減が可能となります。
ここではその代表的なものと、需給するための条件を紹介してまいります。
基本的には広い範囲の方々が対象になる補助金制度ですので、ぜひ介護リフォームの際にはしっかりと活用していきましょう。
介護保険制度の「居宅介護住宅改修費」を受給する
介護を事由として支給される保険制度。それが介護保険です。
平成12年からスタートした厚生労働省管轄のこの制度では、介護のための住宅改修工事において、補助金を受給することが可能となります。
40歳から被保険者として加入することとなり、65歳以上は介護が必要と認定されれば、様々なサービスを受けることもできるため、利用している方も多いことでしょう。
この介護保険を使えば、介護のためのリフォームの際に補助金を受けることが可能です。
今回のようなお風呂場を含め、介護のためのバリアフリー化工事を「居宅介護住宅改修費」と呼称し、1世帯あたり20万円を上限とした給付がなされる形となります。
ここまでに紹介した手すりの設置、床材の変更、段差レスなどの工事も介護のためのリフォームとして該当するため、しっかりと活用したいところですね。
「居宅介護住宅改修費」を利用する際の負担割合は、65歳以上で1割。一定以上の所得がある場合でも2割から3割となります。
40歳から64歳の場合は1割負担です。
ただ、支給は20万円が上限で、ここはどの世帯であっても不動なため、介護目的のリフォームであっても、工事費用に20万から足が出てしまうと、その分は自己負担となります。
もっとも、この場合の超過額については、後述の手段でさらに負担を減らすことが可能です。
自治体ごとの住宅リフォーム支援制度を利用する
これも既にご存じの方は多いと思いますが、日本全国の自治体では、個々に金額や条件こそ異なりますが、バリアフリー化にかかる支援制度を設置しています。
これらは申請することで初めて適用対象になるかどうかの審査が受けられるもので、自発的に支援を要請する必要があります。その点は前述の介護保険とも変わらないポイントですね。
とにかく、介護保険の活用と、自治体ごとの支援制度。
この両輪を上手く運用することで、介護リフォームの工事費用をかなり抑えることが可能になると考えておきましょう。
具体的な自治体ごとの支援制度につきましては、一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会の運営する「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」が明るいところです。
表示されたエリアから自分の住んでいる地域をクリックし、制度内容を選択することで、支援制度の参照が可能となるのがポイント。
正直、自治体ごとの制度を逐一それぞれの役所のホームページを経由して把握しようとしても、UIが古臭くて読みにくく、なかなか欲しい情報にたどり着くにも時間がかかります。
一方でこのサイトなら視覚的にも分かりやすいため、介護が必要な世代の方でも幾分概要をチェックしやすいのが利点です。
使い方も簡単。
仮に東京エリアをクリックする場合、市区町村が表示されますので、自分の居住する地域を選択し、制度内容に「バリアフリー化」があるため、ここをクリックして検索するだけ。
試しに世田谷区でバリアフリー化にかかる補助金制度を検索すると、すぐに「世田谷区高齢者住宅改修費助成金」と「障害者住宅改修費助成」という2つの制度が表示されます。
後はそれぞれの制度名をクリックすれば、詳細な補助金の額面や対象となる条件が表示されるという仕組み。
さらに担当部署の連絡先も同時に確認可能なので、受給に向けた手間が削減されます。
受給条件を満たせれば、前項の介護保険でも自己負担分を帳消しにすることも可能となるので、併用できる場合は併用して費用面を抑えた工事を実践したいところですね。
介護リフォームの必要性と、補助金制度についての知識は荷物にならない!いつかのために、いつでも利用できる知恵を有しておきたい…
どんなに健康な方でも、年齢を重ねるごとに体も不自由になっていくものです。
やがては介護が必要な状態になるかもしれませんし、そうなった際に、日々の入浴に制限が生じるのはなるべく避けたいですよね。
リスクの少ない入浴のためには、リスクの少ないお風呂場へのリフォームが必須です。
そしてこのリフォームを低予算で実行するためには、各種補助金制度の知識も不可欠。
この記事を参考に、ぜひ今後の介護リフォームの予定だけでも、今のうちに検討してみてはいかがでしょうか。